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2022/02/15

年収500~600万円で3,500~4,000万円の住宅ローンを組むときの返済は?

住まい選びのコツ!

年収500~600万円で3,500~4,000万円の住宅ローンを組むときの返済は?
 
総務省統計局が公表した「労働力調査」によると、共働き世帯の平均年収は約651.8万円(2020年)だそうです。
ただ、夫婦のどちらかが非正規雇用で働いている家庭の場合、世帯年収は500~600万円という方が多いと思われます。
 
年収500~600万円の方が住宅ローンを利用する場合、どれくらい借り入れできるのでしょうか。
また、3,500~4,000万円のローンを借りて注文住宅を建てるのは現実的なのでしょうか。
無理のない返済プランを立てる上で、借入可能額をシミュレーションしてみましょう。
 
 
年収500~600万円の借入可能額を算出
 
まずは、年収500~600万円の方の住宅ローン借入可能額について考えてみます。
 
金融機関において、住宅ローンの借入可能額を決めるときに用いる要素には、「年収」のほか「返済期間」「金利」「返済負担率」などをもとに算出します。
返済負担率は30%前後で設定する金融機関が多いですが、無理のない返済プランを立てるには25%くらいに抑えた方が良いといわれます。
 
では、年収500~600万円の方が借入期間35年、全期間固定金利1.3%(2022年1月現在のフラット35の金利)、返済負担率25%の条件で申し込むと、借入可能額はいくらになるのでしょうか。
 
シミュレーションの結果は、以下の通りです。
 
●年収500~600万円の借入可能額
年収 住宅ローン借入可能額 住宅ローンの月額返済額
500万円 3,513万円 104,154円
600万円 4,216万円 124,996円
 
参考:住宅保証機構「住宅ローンシミュレーション」
https://loan.mamoris.jp/index.html
 
 
手取り額から考えた場合の借入可能額は?
 
年収500~600万円といっても、税金や保険料などを差し引いた手取り額は400~500万円という方が多いのではないでしょうか。
さらに、ボーナスの多い給与所得者の場合、毎月の給与は手取りで25~30万円くらいになるでしょう。
 
上記シミュレーションの借入可能額だと、毎月の返済額が10~12万円にもなりますから、給与の4割くらいが住宅ローンの支払いに消えてしまいます。
ボーナス払いができるとはいえ、会社の業績悪化で大きく減ったときには家計を圧迫することも考えられますから、当てにしない方が賢明です。
 
仮に、先ほどと同じ条件を手取り400~500万円でシミュレーションすると、借入可能額は以下のようになります。
 
●年収500~600万円(手取り400~500万円)の借入可能額
年収(手取り) 住宅ローン借入可能額 住宅ローンの月額返済額
500万円(400万円) 2,810万円 83,311円
600万円(500万円) 3,513万円 104,154円
 
月々の返済額でみると、毎月の給与に占める割合は3割前後にまで抑えられます。
 
なお、家計の状況も夫婦二人の家庭と子どもが2~3人いる家庭では、必要な生活費が異なります。
住居費にかけられる予算は、生活費から逆算して考えることが大切です。
 
 
3,500~4,000万円の住宅ローンの返済額はいくら?
 
年収500~600万円の方なら、3,500~4,000万円くらいの住宅ローンの借り入れを検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
では、3,500~4,000万円の住宅ローンを借り入れた場合、実際の返済額はいくらになるのでしょうか。
借入期間35年、全期間固定金利1.3%でそれぞれの返済額をシミュレーションした結果が、以下の通りです。
 
●借入額3,500~4,000万円のトータル返済額(元利均等返済)
住宅ローン借入額 トータルの返済額 月々の返済額
3,500万円 43,582,693円 103,768円
4,000万円 49,808,848円 118,592円
 
参考:住宅保証機構「住宅ローンシミュレーション」
https://loan.mamoris.jp/index.html
 
毎月の給与から考えて、ローン返済額が家計を圧迫しないかを、改めて考えてみましょう。
 
 
返済方法が異なれば返済額も変わる
 
住宅ローンの返済方法には、「元利均等返済」と「元金均等返済」という2つの方式があります。
 
元利均等返済とは、利息を含めたトータルの返済額を毎月均等に返済していく方式です。
全期間固定金利タイプであれば返済額が変わらないため返済計画が立てやすいものの、元金均等返済よりトータルの返済額が多くなる傾向があります。
なお、上記シミュレーションは元利金等返済で算出しています。
 
一方の元金均等返済は、元金を均等に返済していく方式で、借入残高に応じた利息を足した額が毎月の返済額になります。
元利均等返済よりもトータルの返済額を抑えられますが、借入残高の多いローン実行後は返済額が高くなります。
 
ここで、先ほどと同じ条件(借入期間35年、全期間固定金利1.3%)で、3,500~4,000万円の住宅ローンを元金均等返済により返済する場合をシミュレーションしてみましょう。
 
●借入額3,500~4,000万円のトータル返済額(元金均等返済)
住宅ローン借入額 トータルの返済額 月々の返済額
3,500万円 42,981,281円 121,249~83,563円
4,000万円 49,121,466円 138,571~95,381円
 
参考:keisan「ローン返済(毎月払い)」
https://keisan.casio.jp/exec/system/1256183644
 
元金均等返済と比べると、トータル返済額は約60~78万円も抑えられます。
 
ただし、返済開始当初の返済額は毎月12~13万円にもなるため、家計を圧迫する可能性が高まります。
それに、住宅ローンの審査は当初の返済額に基づいて判断されるため、年収によっては審査に落ちる可能性があるのも注意点です。
 
 
頭金を増やして借入額を抑える
 
返済負担率は25%以内で考えるのがおすすめですが、年収500~600万円の方が3,500~4,000万円の住宅ローンを借り入れる場合、先ほどのシミュレーションだと25%を超える可能性があります。
場合によっては、審査に落ちることもあるでしょう。
 
審査に通りやすくするためには、借入額を減らすこと。
つまり、頭金(自己資金)を多目に用意するのも一手です。
一般的に、頭金は建物費用の2割あると安心といわれますが、審査に通るか微妙なラインであれば2割5分から3割くらいに増やすことも検討しましょう。
 
頭金を増やせれば返済額を抑えられ、家計に余裕が生まれます。
貯蓄では足りないという方は、親などに援助してもらえないか相談してはいかがでしょうか。
 
 
固定資産税や火災保険などランニングコストも考慮する
 
家を購入すると、毎年かかるのが「固定資産税」です。
固定資産税の税額は、固定資産税評価額という物件ごとに決まっている価格に一定税率をかけて求められます。
固定資産税評価額は自治体の税務課などで調べられますから、税額がいくらになるかもリサーチしておきたいところです。
 
また、火災保険や地震保険の保険料も意外と高くなる場合があるので、事前に調べておきたい項目の一つです。
多くの方が10年以上(地震保険は最長5年)で契約されると思いますが、更新の際には大きな出費になることもありますから注意しましょう。
 
こうした費用を考慮せずに返済計画を立てると、税金や保険料を払えなくなることも考えられます。
家を購入後にかかるランニングコストも踏まえて、借入額を検討することも大切なポイントです。
 
 
住宅ローン控除を当てにするのは危険?
 
住宅ローン利用者の特権ともいえる節税制度の一つに、「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」があります。
これは、年末のローン残高に一定の割合をかけた額が、所得税や住民税から還付されるという制度です。
 
2022年1月現在の内容ですが、控除率は1%、控除額の上限は年40万円(認定長期優良住宅などの場合は年50万円)、控除期間は最長13年となっています。
仮に、年末のローン残高が3,000万円の場合、最大で30万円の還付金が受けられますから、家計の足しに考えている方も多いでしょう。
 
ただし、この還付金を住宅ローンの返済計画に含めるのは危険です。
そもそも、納めた税金から還付される制度のため納税額以上の還付金は受け取れません。
また、控除額はローン残高に応じて決まることから、年々減っていくことが明白です。
 
住宅ローン控除の還付金で、ローンの返済計画を立てるのは無理があるので、やめておいた方が無難でしょう。
 
2022年の住宅ローン控除改定について
 
住宅ローン控除の内容は、2022年から大きく変更されます。
国土交通省が提出した令和4年度の税制改正概要によると、控除期間は13年ですが、控除率は0.7%に引き下げになります。
これは、金利1%以下の住宅ローン商品が多く、金利より控除率の方が高い「逆ザヤ」状態を解消するためです。
 
また控除額の上限は、建物の環境性能に応じて細かくわかれます。
たとえば、一定の省エネ基準を満たさない一般住宅だと控除額は最大21万円(年間)までになる予定です。
これに対し、一定の省エネ基準を満たす省エネ住宅だと最大28万円、ZEHだと最大31.5万円、認定住宅だと最大35万円になる見込みで、いずれの場合も現在より還付金が減る内容です。
 
なお、2024年以降からはさらに削減されるという方針も示されています。
 
 
住宅ローンによるギリギリの生活を避けるためにできることは?
 
住宅ローンの返済が始まってから、「支払額が多くて生活がきつい…」と悩まれる方は少なくありません。
生活が苦しくなる理由として、ボーナス減や転職などで収入が減ったり、家族が増えて支出が多くなったりと家庭によってさまざまですが、いずれにしても家計の変化に対応できる「余裕のある返済計画」を立てられなかったことが、いちばんの原因です。
 
将来を見通すのは難しいことではありますが、「育休などで収入が減る時期」や「教育費がかかる時期」など、あらかじめ見通せるライフイベントもあります。
ファイナンシャルプランナーなどの専門家と相談して家計に変化があっても対応できる返済額を把握した上で、住宅ローンの借入額を決めることも大切です。
 
 
まとめ
 
年収500~600万円の方が、3,500~4,000万円の住宅ローンを借りることは可能です。
ただし、人それぞれ食費や教育費など必要な生活費が異なりますから、それを把握した上でローンを返済してもゆとりある生活ができる計画を立てることが重要になります。
 
生活が苦しくてローン返済が滞るといったことにならないよう、余裕をもった資金計画を立ててから、適切な借入額を決めましょう。