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2022/02/15

住宅ローンとカーローンは併用できる?複数ローンの影響とは

住まい選びのコツ!

住宅ローンとカーローンは併用できる?複数ローンの影響とは
 
「カーローン(自動車ローン)を利用している人でも、住宅ローンは利用できるの?」「金融機関の審査に影響はないの?」と、住宅ローンとカーローンとの併用に不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
結論からいえば、カーローンを利用している方でも住宅ローンは利用できます。
ただし、ローンを併用する際にはいくつかの注意点がありますから、それを把握した上で住宅ローンを申し込まないと金融機関の審査に落ちる可能性もあります。
 
今回は、住宅ローンとカーローンを併用するとき知っておきたいポイントや注意点を解説しましょう。
 
 
ローンを併用する上で知っておきたい「返済負担率」の仕組み
 
住宅ローンの審査には、年収や年齢、返済期間、返済負担率など、金融機関が基準として定める項目がいくつかあります。
そのなかで、カーローンを利用している人にとって重要な項目の一つが「返済負担率」です。
 
返済負担率とは、年収に対するローンの年間返済額の割合のことです。
たとえば、年収400万円の人が年間100万円のローンを返済している場合、返済負担率は25%(100万円÷400万円)となります。
金融機関では、この返済負担率に上限を設け、年収に対して一定額以上のローン借り入れができないように制限しているのです。
 
ここで重要なポイントとして覚えておきたいのが、返済負担率には「住宅ローン以外の債務も含まれる」ということ。
カーローンはもちろん、カードローンや教育ローンなどの支払額も、金融機関では信用情報機関からローンの借入情報を取り寄せて返済負担率の計算に用いています。
 
仮に、年収400万円の人が住宅ローンに年間100万円、カーローンに年間40万円を返済している場合、返済負担率は35%(140万円÷400万円)です。
多くの金融機関では返済負担率を30%前後に設定して借入可能額を算出していますから、この返済計画だと審査に落ちる可能性が高まるでしょう。
 
カーローンの返済額が多い方は、住宅ローンを借り入れても返済負担率が30%以内に、できれば25%程度に抑えられるよう調整することが、審査に通りやすくなるポイントです。
 
 
カーローン支払額別に住宅ローン借入可能額をシミュレーション
 
現在カーローンを利用されている人が、住宅ローンを新規で申し込む場合、どれくらい借り入れできるのか、「借入可能額」をシミュレーションしてみます。
 
シミュレーションにあたり、以下の条件の人が住宅ローンを申し込む場合で検証します。
 
●収入
年収400万円
 
●カーローンの返済額
カーローンの返済額は、「0円(なし)」「月額3万円(年間36万円)」「月額5万円(年間60万円)」の3パターンでシミュレーションします。
 
●住宅ローンの借入条件
住宅ローンは、全期間固定金利で年利1.5%、返済期間は35年、元利均等返済でボーナス返済なしとします。
 
この条件でシミュレーションすると、年収400万円の方の住宅ローン借入可能額は以下の通りです。
 
カーローンの月額返済額 住宅ローン借入可能額 住宅ローンの月額返済額
0円 3,810万円 116,656円
3万円 2,830万円 86,650円
5万円 2,177万円 66,656円
 
カーローンの支払いがない人と比べた住宅ローンの借入可能額は、カーローンが毎月3万円ある人だと1,000万円近く、5万円の人だと1,600万円以上も差が出るという結果になりました。
カーローンの支払額が多い人ほど、住宅ローンの借入可能額は大きく減ってしまうため注意が必要です。
 
なお、住宅ローンの返済が始まった後にカーローンを利用する場合も同じように、カーローンの借入可能額が低くなり審査に影響が出る可能性があります。
 
参考:フラット35「ローンシミュレーション」
https://www.flat35.com/simulation/sim1.html
※フラット35を利用する場合、返済負担率は35%(年収400万円以上の場合)で計算しています。
 
 
すでにローンを組んでいる場合はどうすればいい?
 
カーローンの支払額が多い方だと、住宅ローンの借入可能額が減ってしまう可能性があります。
上記のシミュレーションでも、ローンの返済額は合計で毎月11万円以上になりますから、年収400万円の人にとっては大きな負担になるでしょう。
無理のない返済プランをしっかり検討し、家計を圧迫しないよう住宅ローンの借入額を決めることが大切です。
 
では、カーローンを利用されている方が住宅ローンの借入可能額を増やすには、どうすればよいのでしょうか。
一つの方法として、「カーローンを完済または減らしてから住宅ローンを申し込む」という手法があります。
一般的に、カーローンの金利は住宅ローンよりも高いため、金利負担をできるだけ抑えるにはカーローンを早く完済した方が得策です。
 
これとは逆に、住宅ローンを利用されている方が車を購入する際には、現金で一括購入するか、購入する車のグレードを落とすなどの工夫が必要でしょう。
これはカードローンなどほかのローンにもいえることで、住宅ローンの審査前にはできるだけほかのローンの借入額を減らすか、現金決済でショッピングをされることをおすすめします。
 
 
複数のローンを利用するときに覚えておきたいポイント
 
カーローンを利用されている方が住宅ローンを申し込む場合や、住宅ローンを利用されている方がカーローンを申し込む場合など、複数のローンの併用を考えている方は、以下のポイントを検討することが大切です。
 
カーローンが完済してから住宅ローンを申し込む
 
住宅ローンとカーローンの返済額を併せると返済負担率が30%を超えるという方は、住宅ローンを申し込む前にカーローンを完済することが望ましいです。
 
先ほどもお伝えした通り、一般的には住宅ローンよりもカーローンの金利の方が高いため、金利負担を抑える上でもカーローンのほうを先に完済させた方が合理的です。
カーローンの完済が難しい場合は、できる限り残高を減らした上で住宅ローンの申し込みをしましょう。
 
ローンを併用する場合は、家計への負担を考慮する
 
住宅ローンの返済が始まってからカーローンを利用する場合など、複数のローンを同時に返済する時は、家計の収支状況から無理のない返済プランを計画することが大切です。
 
カーローンは借入額が少ないことから、比較的に借り入れしやすい融資ではありますが、金利が高いため毎月の返済額を大きく増やす要因になります。
ローン返済が家計を圧迫して返済が滞ることがないよう、カーローンの借入額を抑えたり現金で一括購入したりするといった工夫をしましょう。
 
頭金でクルマを購入するのもアリ
 
家とクルマを同時に購入しようと考えている方もいらっしゃるでしょう。
しかし、いずれもローンを利用するとなれば、年収によっては審査に落ちる可能性があります。
 
もし、マイホームを購入するための自己資金(頭金)がある場合は、そのお金でマイカーを一括で購入し、住宅ローンを多めに借り入れることをおすすめします。
これは、住宅ローンの方が金利は低いことに加え、「住宅ローン控除」というカーローンにはない節税制度が利用できることも理由の一つです。
 
住宅ローン控除とは、年末の住宅ローン残高をもとに一定額が所得税などから還付される制度で、借入額が多くなれば還付される金額が増える可能性があります。
還付額は収入や納税額、扶養家族の数などによっても異なりますが、年収400万円くらいの方なら毎年20万円前後の節税が期待できますから、頭金が戻ってくる可能性も考えられるでしょう。
 
ただし、住宅ローンのなかには融資率(住宅の購入価格に対する借入額の割合)が高くなると金利がアップする商品もあります。
典型的な例としてフラット35の場合、融資率が9割を超えると金利が0.26%もアップします。
その金利とカーローンの金利を比べたとき、カーローンの方が低い場合は、頭金を住宅の購入費用に使った方が得策の場合もあります。
 
 
すべてのローンをまとめることはできるのか?
 
これまで説明した通り、カーローンの金利は1~3%くらいの商品が多く、1%前後の住宅ローンと比べると高い傾向があります。
このため、「金利の低い住宅ローンにカーローンを組み込んで借り入れられないか?」と考えている方も少なくないでしょう。
 
結論からいうと、カーローンを住宅ローンに組み込むことはできません。
当然のことですが、住宅ローンは「家を購入することが目的」の融資であるのに対し、カーローンは「クルマを購入することが目的」の融資です。
目的の異なるローン商品を組み込むことはできません。
 
インターネットの掲示板などに「カーローンを住宅ローンに組み込める」という情報を見かけることがあるかもしれませんが、住宅ローンの借入金を住宅購入費以外の用途で使うと契約違反となり融資の中断や解約される可能性がありますので、ご注意ください。
 
なお、住宅ローンとカーローンを同時に利用すると、金利が優遇されるという商品を展開している金融機関もあります。
返済額を少しでも抑えたい方は、こうした優遇措置を展開している金融機関で借り入れを検討してみてはいかがでしょうか。
 
 
まとめ
 
住宅ローンとカーローンを併用する場合は、返済負担率に注意する必要があります。
返済負担率が高すぎると審査に落ちる可能性がありますし、仮に審査に通ったとしても返済額が家計を圧迫して苦しい生活を送ることになるかもしれません。
 
これは、住宅ローンとカーローンだけに限らず、クレジットカードのローンや教育ローンなどの場合も同じです。
いずれかのローンだけで限度額いっぱいまで借り入れると、ほかのローンが利用できないこともありますから、しっかり計画を立ててから申し込むことが、審査に落ちないためにも、またローン地獄に陥らないためにも重要になってくるのです。